タケイ イサオ   TAKEI ISAO
  武居 功
   所属   医学部医学科 整形外科学
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 特発性距骨壊死に対する人工距骨置換術後に外反扁平足を来した1例
会議名 第59回関東整形災害外科学会
学会区分 地方会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎染村嵩, 原口直樹, 武居功, 上野純, 吉田篤弘, 白土崇輝, 葛西亨, 仁木久照
発表年月日 2019/03/23
開催地
(都市, 国名)
東京
概要 特発性距骨壊死に対する人工距骨置換術後早期に外反扁平足を来したため、外反扁平足の再建手術を要した症例を報告する。
症例は73歳女性。既往に、レイノー病、両足趾骨折、右膝蓋骨骨折がある。左特発性距骨壊死に対し人工距骨置換術を施行したが、置換術後より左足部の疼痛が増強し、術後6ヶ月の時点では左外反扁平足を呈していた。日本足の外科学会の足関節・後足部判定基準(JFFS ankle/hindfoot scale)は、人工距骨置換術前は41点(疼痛0点、機能31点、アライメント10点)、外反扁平足手術の術前は55点(疼痛20点、機能30点、アライメント5点)であった。人工距骨置換前と外反扁平足再建手術前のX線写真を比較すると、人工距骨置換前は、側面距骨第1中足骨角(lateral talo-first metatarsal angle:L-TMA) 18°、踵骨傾斜角(calcaneal pitch angle:CPA) 17°、外反扁平足再建手術前ではL-TMA 24°、CPA 13°であった。
術後約6ヶ月で左外反扁平足に対する手術を施行した。手術時の所見としては、後脛骨筋腱に断裂は認めなかったが、滑動は少なく、また、ばね靱帯の損傷は認めなかった。踵骨内方移動骨切り術、長趾屈筋腱移行術、及び外側支柱延長術を施行した。現在術後4ヵ月と経過観察の期間は短期であるが、X線写真ではL-TMAは7°、CPAは23°となり、疼痛も改善している。
成人期外反扁平足の原因は、後脛骨筋腱の機能不全、関節症性(変形性、リウマチ)、外傷性、神経麻痺、足部腫瘍が挙げられるが、人工距骨置換術後に急速に外反扁平足を来した報告は見当たらない。本症例において外反扁平足を来した原因としては、元来軽度の後脛骨筋腱の機能不全があったと考えられるが、これに加えて、人工距骨置換術では、距骨に付着する三角靱帯や距舟靱帯を全て切除することにより距骨の底屈を防ぐ安定化機構が破綻し、外反扁平足を来したと推測される。人工距骨置換術前に当たっては、このような合併症の可能性について、あらかじめ患者に説明しておく必要があると考える。