サクラダ ツトム   SAKURADA TSUTOMU
  櫻田 勉
   所属   医学部医学科 腎臓・高血圧内科
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 虚弱高齢腎不全患者の”より良い”マネジメントとは何か?.
会議名 第49回日本臨床腎移植学会
主催者 臨床腎移植学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ・パネル(公募)
発表者・共同発表者◎柴垣有吾、音部雄平、平木幸治、瀧康洋、谷澤雅彦、佐々木秀郎、櫻田勉、力石辰也
発表年月日 2016/03/25
開催地
(都市, 国名)
米子市
概要 近年の医療の進歩は目覚ましく、腎不全医療においてもそれは明らかである。しかし、日本透析医学会のデータでは生存率はほとんど改善していない現状がある。この理由は患者の高齢化が挙げられる。日本の透析は世界でも“稀にみる成績の良さ”を誇っているとされ、実際、我々の検討でも透析導入後の長期予後は良好である。一方、透析患者の短期予後は驚くほど悪く、欧米並みかそれ以下であった。その理由として、日本でも増加する虚弱高齢腎不全患者に対しても透析が導入されている現実があると思われる。
 医師はこれまで患者の予後の改善のため、努力を重ねてきた。医療の学問的・技術的進歩も後押しをして、寿命は延びているが、不健康寿命が延びているだけの可能性も指摘されている。透析は明らかな延命治療であり、透析自体は辛くても透析以外の時間を有意義に過ごせることが前提である。しかし、病気自体はマネージされていても、身体機能や認知機能の低下により、不本意な生活を強いられている人も少なからず存在する。
 今後は患者視点アウトカムの向上を医師がより重視すべきである。現ガイドラインの基となる臨床研究の多くがアウトカムとして死亡や臓器障害を設定しているが、そもそもの寿命の短い高齢患者にとってより切実なアウトカムはQOL, ADLの維持や希望等のはずである。そこで、我々はCKD患者の希望というアウトカムの定量化を試みている。又、CKD患者の身体機能や認知機能をチェックし、身体機能が腎不全の早期より低下し、治療であるべき蛋白制限にて悪化する可能性を示した。さらに、身体機能は認知機能に強く関連することを明らかにし、身体機能低下が高齢者でも可能な活動度でも向上することを示した。今後は蛋白摂取と運動がQOLやADL・希望に与える影響を定量化することを計画している。さらに、末期腎不全の代替療法としての腎移植にも積極的に関与していきたい。