イチカワ ダイスケ   ICHIKAWA DAISUKE
  市川大介
   所属   医学部医学科 腎臓・高血圧内科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 常染色体劣性多発性嚢胞腎が疑われ,38歳で血液透析導入となった一例.
会議名 第45回日本腎臓学会東部学術集会
主催者 日本腎臓学会
学会区分 地方会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎菊地 隆之,佐藤 浩司,市川 大介,櫻田 勉,柴垣 有吾
発表年月日 2015/10/02
開催地
(都市, 国名)
東京都
概要 【症例】38歳,女性.【既往歴】高血圧症,原発性胆汁性肝硬変.【家族歴】父母:いとこ婚.双方に腎疾患なし.妹:原発性胆汁性肝硬変,原疾患不明の慢性腎臓病で30歳時,血液透析導入.
【現病歴】出生前後は明らかな異常を指摘されなかったが,学童期より高血圧を指摘されていた.25歳時,職場健診で肝機能障害を指摘されたため当院消化器科を受診し,抗ミトコンドリア抗体は陰性であったが肝生検の結果,原発性胆汁性肝硬変の診断となった.以後外来通院し,27歳時に腹部超音波で両側腎嚢胞を認め,尿潜血と蛋白尿が陽性であったため当科紹介となった.初診時Cr0.98mg/dl,eGFR77ml/min/1.73m2,UP1.3g/gCr,U-RBC1-4/hpfであり、超音波上の腎嚢胞は皮髄境界近傍に大小多数みられ,腎皮髄境界は不明瞭であった.以後外来にてCKDの加療を継続したが徐々に腎機能は悪化し,38歳時に血液透析導入となった.
【考察】本症例の肝生検病理は細胆管の増生と門脈周囲の線維化を伴う肝線維症の所見であり,家族歴や特徴的な腎形態から臨床的に常染色体劣性多発性嚢胞腎が疑われた.肺低形成を伴わず透析導入が30歳代と遅めであったことは非典型的であり,肝障害に関して当初は異なる診断となっていた点も示唆に富むと考えられた.若干の文献的考察を加えて報告する.