ヤザワ マサヒコ   YAZAWA MASAHIKO
  谷澤雅彦
   所属   医学部医学科 腎臓・高血圧内科
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル よくわかるAKI診断・治療.
会議名 第61回日本透析医学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ・パネル(指名)
発表者・共同発表者◎谷澤雅彦, 柴垣有吾
発表年月日 2016/06/10
開催地
(都市, 国名)
大阪市
学会抄録 日本透析医学会雑誌 49(Suppl.1),319 2016
概要 AKI(Acute Kidney Injury)という疾患概念はベースラインからのわずかな腎機能低下(Cr 0.3 mg/dlという軽微な変化でさえ)でも予後に腎および生命予後に影響を与えるという最近の知見から、回復可能で治療効果が高い早期の段階で診断・介入あるいは予防し、予後改善を達成することを目的としている。またAKIは以前から考えられていた一時的な障害のみならず、CKD(Chronic Kidney Disease)の強力なリスク因子であると近年では認知されている。
しかしCrが0.3 mg/dl上昇した“程度”では、原因にもよるが患者はなんら症状も訴えないであろうし、日々の多忙な日常診療では“経過観察”もしくは“誤差”としてAKIとは認識されていないことも多いであろう。AKIとして我々腎臓内科医・透析医がコンサルトを受ける状況としては、“明らかな”Crの上昇、“明らかな”尿量の低下(無尿)やそれに伴う肺水腫、高K血症を中心とした“明らかな”電解質異常などであるが、その時期はすでにpint of no returnであることが多い。多くの場合、病歴(原疾患・年齢・既往歴・家族歴等)、投薬内容、バイタルサイン、体重などから、“明らかな”変化を呈する前にAKIを予測・診断、ひいては予防可能であったと考えられるポイントが“後ろ向きに“分かることが多い。またCrというのは真の糸球体濾過量をリアルタイムに示しているとは限らず、近年ではより早期に腎機能障害を検出するバイオマーカーに期待がかかっている。血清Cr値では反映できない程度の、より早期のAKIバイオマーカーを用いてリスクの層別化を行い患者毎の対応へ応用することが可能となってきている。
管理・治療に関してはepoch-makingなことは多くないが、腎毒性物質の回避と適切な循環(量と圧)の維持を中心に、上記AKIを起こし得る状況を特定し回避することが中心となる。その他患者の置かれている状況(救急病棟・一般病棟、救急外来・一般定期外来、大手術後、心不全、肝不全、担癌患者、腎移植後など)に応じたポイントを加味して診断・管理・治療を行っていく。