クマイ タカノリ   KUMAI TAKANORI
  熊井隆智
   所属   医学部医学科 整形外科学
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 骨芽細胞におけるグルコース輸送体1の活性化により誘導される骨形成能の促進
会議名 第37回日本整形外科学会基礎学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎染村嵩, 遊道和雄, 熊井隆智, 谷田部かなか, 佐々木千鶴子, 藤谷博人, 仁木久照
発表年月日 2022/10/13
開催地
(都市, 国名)
宮崎県
概要 【目的】骨・軟骨組織は力学的ストレスに応答して変化することが知られており、細胞内情報伝達路による力学的ストレス応答機序が解明されつつある。我々はこれまでに、力学的ストレスの感知・応答機構と細胞エネルギー代謝機構との関連に注目し、グルコース輸送体1: Glut 1を介したグルコース取り込みとエネルギー代謝センサーSirtuin 1の相互作用について報告してきた。本研究ではGlut 1 阻害剤を用いて検証し、3次元培養下における骨芽細胞の力学的ストレス応答機序を立証することを目的とした。【方法】コラーゲンスポンジに骨芽細胞を播種して3次元培養した。重錘を用いて25.5 gf/cm2の持続的荷重ストレスを負荷し、その後培養48時間目に培養上清を採取、かつ3次元培養組織をコラゲナーゼ処理して細胞蛋白を回収した。荷重ストレス+/-条件下における①骨芽細胞活性変化(アルカリフォスファターゼ・オステオカルシン活性)をELISA法で、②細胞エネルギー調節因子Glut 1とSirtuin 1、および骨芽細胞分化の転写因子Runx 2の発現度をwestern blot法で分析した。また、③Glut1阻害剤存在下・非存在下におけるGlut 1、Sirtuin 1およびRunx 2の発現の変化を比較分析した。【結果】生理的荷重ストレス負荷により、骨芽細胞の細胞活性は増強し、かつGlut 1発現は有意に増加、SIRT1発現は有意に減少、Runx 2発現は有意に増加した(各因子ともに荷重ストレス(-)対照群に比べてP< 0.05)。しかし、Glut 1阻害剤存在下では、生理的荷重ストレス負荷で誘導されたGlut 1、Sirtuin 1およびRunx 2の発現変化はみられなかった。【考察】骨芽細胞に対する生理的力学負荷は、Glut1活性化を介して細胞内へのグルコース取り込みを増加させ、これに応答してSirtuin 1発現は低下し、その結果Sirtuin 1が抑制するRunx 2発現は増強することが明らかになった。また、Glut1阻害剤存在下ではこの系が動かなかったことはGlut 1が力学的ストレス負荷による骨芽細胞の分化と骨形成に重要な役割を担う応答因子であることを示した。