ユウドウ カズオ   YUDO KAZUO
  遊道和雄
   所属   大学院医学研究科 難治性疾患病態制御学
   職種   大学院教授
言語種別 日本語
発表タイトル 三次元培養下における骨芽細胞と軟骨細胞の力学的ストレス応答能の比較解析
会議名 第35回⽇本整形外科学会基礎学術集会
主催者 山本 謙吾
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎染村嵩, 遊道和雄, 熊井隆智, 谷田部かなか, 佐々木千鶴子, 藤谷博人, 仁木久照
発表年月日 2020/10/16
開催地
(都市, 国名)
東京都 Web開催
概要 【目的】骨軟骨代謝は力学的ストレスに応答して変化することが知られており、力学的ストレス応答機序が解明されつつある。我々は、力学的ストレスの感知・応答機構の解明が骨関節疾患の病因病態解明の糸口になると考え、コラーゲンスポンジを用いた3次元培養下における骨芽細胞と軟骨細胞の力学的ストレス応答能を比較解析した。
【方法】コラーゲンスポンジに骨芽細胞または軟骨細胞を播種して3次元培養した。重錘を用いて25.5 gf/cm2の持続的荷重ストレスを負荷し、その後培養48時間目に3次元培養組織を回収した。荷重ストレス+/-条件下における①走査型電子顕微鏡解析、➁細胞活性変化[骨芽細胞:アルカリフォスファターゼ・オステオカルシン活性、軟骨細胞:プロテオグリカン・II型コラーゲン産生能]、③細胞エネルギー調節因子[細胞膜に発現するグルコース輸送体glucose transporter 1 (Glut 1)、エネルギー代謝センサーsirtuin 1]を評価した。
【結果】荷重ストレス条件下に培養した3次元培養組織体の走査型電子顕微鏡像において、骨芽細胞群、軟骨細胞群共に細胞膜表面の糖鎖構造、分泌蛋白等の直径0.2~0.4 mの細顆粒は非荷重条件下よりも強発現していた。荷重ストレスにより、骨芽細胞の細胞活性と細胞エネルギー代謝(Glut 1発現増加・sirtuin 1減少)の増強が認められたが、軟骨細胞ではこれらの変化は認めなかった。
【考察】3次元培養-荷重負荷実験系の解析から、骨芽細胞では荷重ストレスに応答して細胞エネルギー代謝および細胞活性が増強し、骨基質成分産生とコラーゲン線維への沈着の増強が確認できた。一方、軟骨細胞では同条件の荷重ストレスに伴う各活性変化は認められず、力学的ストレス応答能の差が示唆された。本研究から、力学的ストレスに応答する骨軟骨代謝変化の解明に資する知見が得られた。