研究者情報 | |
セイケ ヒロキ
SEIKE HIROKI 清家大樹 所属 医学部医学科 解剖学(人体構造) 職種 助教 |
|
言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 先スペイン期ペルー北部高地におけるラクダ科飼養の開始と変遷―動物考古学的アプローチから― |
会議名 | 古代アメリカ学会 第18回研究大会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎清家大樹, 鵜澤和宏 |
発表年月日 | 2013/12/07 |
開催地 (都市, 国名) | 山形県山形市, 日本 |
概要 | アンデス地域には、南北に非常に長い範囲に急勾配な山々が連なるアンデス山脈が存在し、海岸と山地の間には非常に多様な生態環境が比較的狭い範囲に分布する。そうした環境において、それぞれに分散する資源を統合し、一つの世帯もしくは社会で共有し利用する形態がとられていることが、植民地期の記録や現代の民族誌により知られている。それが「垂直統御」と呼ばれる資源管理のモデルである。こうした環境利用の中で、アンデス山脈に分布し高度適応をした南米ラクダ科動物はどのような役割を担ってきたのだろうか。
南米ラクダ科動物は、アンデス山脈に分布する高度適応をした大型偶蹄類である。アンデス地域において最優先種であり、狩猟採集から国家形成までの長い過程の中で、重要な貢献をしてきた。特に、紀元前4000年頃にアンデス地域で家畜化されてからは、ラクダ科動物は運搬、労働力、毛や肉の供給源、また、祭祀などに用いられ、その後のアンデス地域の諸社会にとって極めて重要な貢献をした。ただし、その利用法などの意味合いは社会ごとに変化していったことが予想される。また、現時点でのラクダ科家畜の研究はその関心が系統、起源、拡散の方に重きが置かれており、植民地直後もしくは現代へと繋がる過程においての家畜利用の実態に関する研究は殆どなされていないのが現状である。 本発表で扱う資料は、ペルー北部高地の家畜化以降の時期である形成期からワリ期、そして植民地期の直前のインカ期の遺跡から出土した動物骨である。対象となる遺跡は、形成期はクントゥル・ワシ遺跡とパコパンパ遺跡、ワリ期はバーニョス・デル・インカ遺跡、エル・パラシオ遺跡、パレドネス遺跡、インカ期はサンタ・デリア遺跡、タンタリカ遺跡である。それぞれの時期は社会的状況も考古資料が出土するコンテクストも異なるが、ラクダ科家畜の利用という意味では変わらない。また、ペルー北部高地はラクダ科野生種の自然分布域外であり、遺跡から出るラクダ科動物骨は全て家畜であると想定が可能である。 本研究において形成期からインカ期の間の時期のラクダ科家畜の利用について記述をすることで、家畜化からどのように利用法が変化したのかを追うことが出来、また植民地期の歴史民族学的研究や現代のラクダ科家畜をめぐる民族学研究による垂直統御モデルが何処まで遡ることが出来るかを検討することが可能となる。 |