ニキ ヒサテル   NIKI HISATERU
  仁木久照
   所属   医学部医学科 整形外科学
   職種   名誉教授
言語種別 日本語
種別 全体執筆
単著/共著の別 共著
表題 骨盤輪・仙骨骨折 AO/OTA 分類 Type C では 膀胱直腸障害が高率に合併する
書名 関東整形災害外科学会雑誌
出版社 関東整形災害外科学会
出版地
(都市, 国名)
神奈川
査読 査読あり
著者・共著者 ◎小野瀬 喜道, 寺内 昂, 佐藤 健太郎, 仁木 凛太郎, 仁木 久照
発行年月 2024/08
概要 骨盤輪・仙骨骨折の骨折型による膀胱直腸障害(Bladder-bowel dysfunction,以下BBD)の合併率を調査し,骨折型によるBBD対策の必要性について検討した.対象は2016年1月~2020年7月に救急搬送となった骨盤輪骨折または仙骨骨折146例のうち,高齢者脆弱性骨折と死亡例を除いた73例(男42例,女31例)で,受傷時平均年齢は50.0歳(8~90歳)であった.骨折部位の内訳は骨盤輪骨折71例,仙骨骨折43例(重複骨折39例)で,骨盤輪骨折AO/OTA分類ではType A:26例,Type B:29例,Type C:16例,仙骨骨折AO/OTA分類ではType A:4例,Type B:34例,Type C:5例であった.BBDは退院時に尿道留置カテーテル抜去困難または自己導尿を要した症例と定義した.AO/OTA分類と退院時のBBD合併率を検討した.統計学的解析はFisher検定を用い,P値0.05未満を有意差ありとした.退院時にBBDを認めたのは8例(11.0%)であったが,受傷時にBBDを指摘された症例は無かった.退院時におけるBBDの合併率は,骨盤輪骨折ではType A:0%,Type B:10.3%,Type C:31.3%で,Type Cで有意に高かった(P<0.01).仙骨骨折ではType A:0%,Type B:11.8%,Type C:60.0%で,Type Cで有意に高かった(P=0.045).
高エネルギー外傷に伴う骨盤輪・仙骨骨折は,出血性ショックや多発外傷を伴うことが多く,一次救命処置が優先されることが多い.そのため,骨折によって引き起こされる神経損傷があっても,初診時にBBDを診断することは難しい.今回の結果から,AO分類Type Cの不安定型骨盤輪・仙骨骨折では後にBBDが高頻度に合併するので,受傷後速やかな整復固定の必要性が示唆された.