研究者情報 | |
コモリ マナブ
KOMORI Manabu 小森 学 所属 医学部医学科 耳鼻咽喉科学 職種 主任教授 |
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論文種別 | 総説・解説 |
言語種別 | 日本語 |
査読の有無 | 査読あり |
招待論文 | 招待あり |
表題 | 新型コロナウイルス感染症後遺症に対する上咽頭擦過療法の有効性 |
掲載誌名 | 正式名:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | 2(4),153-159頁 |
著者・共著者 | 齋藤善光、小森学 |
担当区分 | 最終著者,責任著者 |
発行年月 | 2022/12 |
概要 | 2019年12月に中国・武漢で原因不明の肺炎として報告されて以降,この新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染は全世界に拡大した.日本国内では,2020年1月16日に初めて患者が報告され,その後は変異株の出現や流行に伴い,感染者数が増減を繰り返しているものの,ワクチンを含めた予防,感染対策や治療が確立されつつある.その一方で,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した一部の患者に,種々の後遺症が出現すると報告されており,その病態はいまだ不明点が多く確立した治療法が存在していない.昨今,このCOVID-19後遺症に対して慢性上咽頭炎の治療法である上咽頭擦過擦過療法(EAT:Epipharyngeal Abrasive Therapy)の有用性が報告され,耳鼻咽喉科・頭頸部外科医によるCOVID-19後遺症への治療介入が注目されている.
当院では,COVID-19後遺症患者に対しEATを実施し,自覚症状によるアンケート調査を行った.その結果,EAT施行前後にて自覚症状の改善率は79.6%の症例で改善傾向を示し,7割以上症状が改善を認めた症例は20.4%認めた一方で完治した症例は4.1%のみであった. COVID-19後遺症は,いまだ明確な治療法が確立されていない状況で,社会生活へ強い影響を生じている患者も少なくない.EATは通常診療の中で施行可能な簡便な手法で安全性も高く,治療の選択肢の一つとして再検討する余地があると考えられた.しかしながら,完治する症例は少なく、今後より効果的な新たな治療法が解明されることを期待したい. |