トザワ アキコ   TOZAWA AKIKO
  戸澤晃子
   所属   医学部医学科 婦人科
   職種   客員教授
論文種別 原著
言語種別 日本語
査読の有無 査読あり
表題 HPV検査単独法を念頭においた場合に実施すべき子宮頸がん検診体制について
掲載誌名 正式名:日本がん検診・診断学会誌
ISSNコード:18818846
掲載区分国内
巻・号・頁 29(3),185-192頁
著者・共著者 齊藤英子, 雑賀公美子, 森定徹, 宮城悦子, 藤井多久磨, 高橋宏和, 八重樫伸生, 戸澤晃子, 中山富雄, 青木大輔
発行年月 2022/01
概要 子宮頸がん検診の手法の中で死亡率と罹患率の減少効果が直接的に示されたものは細胞診単独法のみで、現在わが国の地域保健・健康増進事業での検診手法としても採用されている。また子宮頸がんの原因とされるハイリスクHPV感染の有無を調べるHPV検査単独法は、研究での罹患率減少効果によって検診の有効性が示されたことから、近年では検診への導入がいろいろな国や地域で検討されている。一方、がん検診事業を実施して実際に対象集団における死亡や罹患の減少という効果を得られるかは、ある程度妥当な検診手法を用いたうえで、検診事業全体を適切に運用する必要がある。検診事業の運用が良好と言えるためには、精度管理体制の整備、検診受診者のモニタリング、診断・治療体制の整備など、運用状況に関する条件を満たす必要があり、それらを満たすものがorganized screening、すなわち組織型検診と言われる。そこで、わが国へのHPV検査単独法を導入するのみならず、それによって効果を上げることを念頭におき、わが国で実施されている住民検診、職域での検診、個人が任意で受ける検診それぞれの体制が、組織型検診の必要条件とされる各項目をどの程度充足しているかの現状を検討した。また、HPV検査単独法での効果を上げるために特に留意すべき条件を、そのアルゴリズムの特性から検討した。その結果、いずれの検診様式でも組織型検診の条件の充足が十分ではなかった。一方、HPV検査単独法での検診で期待される効果を得るにはそれらの条件すべてを準備すべきであり、特に精度管理体制の整備と検診受診者のモニタリング、診断・治療体制の整備に注力する必要があると考えられた。HPV検査単独法導入の検討は、同時に子宮頸がん検診事業の組織型検診の必要条件充足を伴うべきである。(著者抄録)